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かつて日本人を分け隔てた呪い「非国民!」が 安倍氏の「こんな人達には負けない!」 の中に息づいている

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こんにちは、DACです。

都議選以降、安倍内閣の支持率は急減し不支持率も上がっています。先だっての都議選では自民党は稲田自衛隊発言、下田疑惑、そして前国会から続く加計関連の不公正なプロセス疑惑等、この状況に至った理由は枚挙に暇がありません。

しかし、個人的には決定打となったのは開票前日の安倍氏が直々に行った秋葉原演説であったと思っています。今回はその中で問題となった「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言について語ります。

この話は政治の話ではない。安倍氏が行った人として許されざる暴挙を指摘するものだ。

安倍氏について取り扱うと、即政治的な話だと決めつける人は少なくありません。実際、小生は政治的なニュースをテーマに扱うことも多いです。

しかし、この話は政治の話ではありません。安倍氏が行った人として許されざる暴挙を指摘するものです。右とか左とかそんなチンケな話に落とすつもりは全くありません。それ以前に民主主義の国でやってはならないことをやってしまったことについて触れていきます。

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言とは

安倍晋三首相が7/1秋葉原で街頭演説を行った際、一部聴衆から「帰れ」「辞めろ」といったコールを浴びせかけられました。これに対し安倍氏が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言したことを指します。以下は発言中の抜粋です。


皆さん、あのように人の主張の訴える場所に来て、演説を邪魔するような行為を私たち自民党は絶対にしません。私たちはしっかりと政策を真面目に訴えていきたいんです。憎悪からはなんにも生まれない。相手を誹謗(ひぼう)中傷したって、皆さん何も生まれないんです。こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかない、都政を任せるわけにはいかないじゃありませんか。

何が問題となっているのか?

色々なメディアやコメンテータから問題の指摘はされてきました。小生が個人的に面白いと思ったのは7/10毎日新聞夕刊の「特集ワイド
「こんな人たち」と国民を分断 安倍さんの本質
」という記事でした。

安倍氏の演出する世界観は「ヤンキー的」である

記事中コラムニストの小田嶋氏は、安倍氏の演出する世界観は「ヤンキー的」であると指摘しました。

「ヤンキー的」とは何か?不良少年や昔の任侠のように味方と敵を峻別(しゅんべつ)し、身内をとことんかばう一方、自分を批判する相手には攻撃的な態度を隠さないあり方を指してのことです。

例えば稲田氏や下田氏や管氏、萩生田氏のような側近的な閣僚はお友達なので酷い失敗をしても守り通そうとする。一方、今村元大臣のような外様的な順番待ち系の閣僚は挿げ替えることにためらいはない。例えば、もっと広くは敵対する野党に対しては徹底的な攻撃と非礼をもって遇するが、与党である自民、公明、改憲勢力である維新の会には比較的温厚に接する。

あろうことか国民に対しても味方と敵を分け隔てた

まだ政治家同士ならそれも理解出来るのです。別に安倍氏が政治家になる遥か昔から政党は存在して衝突しあってきました。自民党一つとっても中は一枚岩ではなく、派閥によっては同じ政党かと思うくらい考え方、方向性が違うこともままありました。状況によっては血で血を洗うような闘争を繰り広げたこともあります。

しかし、安倍氏の「こんな人達には負けない!」という言葉はよりによって国の主体である国民に向けて放たれました。つまり、味方である人達とは別の敵であるこんな人達とを安倍氏が主観で分けてしまったのです。

  • 味方:皆さん、私達、自民党
  • 敵:こんな人達、自分に反対する人

味方をしてくれる皆さんは大事にするけれど、自分に反対するこんな人達は敵なので大事にはしない。自分たちは真面目で真摯、敵は憎悪に基づき誹謗中傷するだけ。そういう対立構造を作り、敵がいかに不当であるかを訴え、味方が敵を憎むように分断しようとしています。

かつて日本人を分け隔てた呪い「非国民!」が安倍氏の「こんな人達には負けない!」の中に息づいている

実のところ、この分断戦術は「ヤンキー的」などという生易しいものではないと小生は思います。

敵である「こんな人達」は、自分の邪魔をし自民党に投票をしない。そんな相手は国民ですら無い。非国民である。あの戦時の呪いの言葉に直結する危険なニュアンスを色濃く含んでいます。

非国民とは何か?

非国民(ひこくみん、旧字体: 非國民)とは、自国で「国民に非ざる振る舞いをする」とされる人物を指す日本語の蔑称」「反国体的・反戦的な活動・言論を行う者や、政府の方針に従わない者などに対して、特定の思想・価値観に基づいて用いられてきた、強い憎悪・非難・侮辱などを含意する表現」とされます。

この言葉の恐ろしいところは、国民であるのに政府の統制に従わぬものをすべからく国民にあらざるものとして扱うべし…という呪いを国民の末端にまで浸透させきったことにあります。国民同士は相互監視を行い反政府的な存在を適宜密告することを推奨し報奨金も出しました。本当に反政府的である場合は勿論、気に食わないとか嫉妬、単なる報奨金目当てで通報され特高に捕縛拷問される状況が生まれ、全ての国民は恐怖の元に生きることを強いられました。

断絶させることで敵を人扱いしない戦術

「非国民」という言葉は戦時の陰惨なありようから未だタブーとされる言葉です。しかし、「こんな人」と名指された先は全く同じなのです。

記事中にもありますが、この戦術は若い人に対して非常に親和性が高い面があります。


小田嶋さんの目には、こうしたヤンキー的世界観が若い世代の間で共感を得ているように映る。「最近の若い人たちは『雰囲気を壊さず、仲間を大切にしよう』という考えを重んじる傾向が強い。仲間内では意見を主張せずに、我慢して秩序を保とうという気分と『ヤンキー志向』は無縁ではないと思っています」
若い人は個性と自由を求め他者の言いなりになることを嫌うとも言います。一見「ヤンキー志向」と矛盾しているようですがそうではありません。

若い人が反感を持つのは自分達にとっての異物である社会構造や上位存在からの強制です。一方、自分「達」という集団は仲間内として死守せねばならないコミュニティであり、そこからはみ出さないために個を殺すこともやむなしとしたりするのです。

断絶されて敵とみなされることを恐れ、自分を大事にしてくれる仲間や強い存在に帰依する構造は非常に近しくこの戦術を好ましいと捉えてもおかしくない素地があるのです。

煽ったのはプロ市民だという指摘の無意味さ

あえて言いましょう。そうなのかもしれません。ご指摘の通り、演説で前もって垂れ幕を用意し、演説の間近で「帰れ」「やめろ」とひとかたまりになって叫ぶ姿は決して自然発生のものではないでしょう。はっきり言って不自然です。

しかし、それだけのことです。選挙の邪魔をしていた一事はその集団に非があるといっても良いでしょうが、だからといって「こんな人達」と安倍氏が分断することは決して許されません。

もし、それを肯定するのであれば、プロ市民は「こんな人達」であり「敵」であり「非国民」であり分断してどう扱ってもいいのだという安倍氏理論に乗ることになります。それはいかなる相手であっても許されることではありません。

この国の主権者は誰ですか?

そもそもこの国の主権者は誰ですか?

国民ですよ。

国会議員というのは主権者である国民の幸福のために、国民の願いを叶えるために、行政の場に国民の代表として委任されて出ているに過ぎません。内閣総理大臣もその一環でしかありません。国民が主であり、議員が従属です。議員とは代議士、代理で国会で議論するための駒に過ぎません。

どこをどう間違えてか代議士は名士となり、行政を自らの意思で統べるものであるという勘違いが蔓延しています。安倍氏の態度は非常にわかりやすいもので、国民とは政局を乗り切るための単なる数、自分の政策を叶えるための道具なのです。その発想が下地であるから、「道具ごときが反抗するな。生意気な」或いは「敵するものはこんな人達(非国民)だ」と放言出来るのです。

たかが総理大臣が思い上がるな

先日、トランプ大統領がG20の際に「安倍大統領」と誤って呼称しました。これは単にトランプ氏の不見識のなす業とみなすことも出来ますが、そう呼ばれるような立ち居振る舞いを素直に表現しただけなのかとも思います。

総理大臣だから何でも好き勝手に出来る訳ではありません。でも、安倍氏の繰り返す言葉にはその勘違いした全能感が滲み出ています。

安倍氏には言いたい。たかが総理大臣の癖に思い上がるな…と。

日本の真裏である南米ベネズエラでは反米左派の大統領が多数の国民の意思を踏みにじってその地位を欲しいままにしています。その結果、警察が国会上空にヘリを飛ばして手榴弾を投げつけたり、国会に大統領シンパが鉄棒を持って侵入して野党議員達を血祭りにあげたりと国家の体裁すら保てない状況です。

不謹慎ですが昔であれば他国の珍事を笑えたものですが、今の日本では笑えません。まかり間違えばベネズエラより酷いことになるのですから

オマケ

政治の話はしないと書いたのに右寄りの間抜けがわざわざこんな泡沫ブログに来て寝言書いてる。あのな。こんな零細で何書こうが、お前らの糞ブコメが何書こうが政局にはびた一文影響無いから喚くな。見苦しい。

あと、保守がどうこうなる事はご心配なく。どう転ぼうと与党は自民党からは変わらないよ。次は菅や麻生や石破、岸田のどれかあたりになるんじゃないの?他にそろそろってのいたっけ?

本文にも書いたけど、プロ市民みたいなのが喚くのがまともとも思わないけどな。それとこれ話が違うんだわ。