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イマドキの学習塾事情を少しだけ調べてみたら、思った以上に救いが無かった

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学習塾の営業不振が気になった

www.chishikiyoku.com

このエントリに目を通して自分が気になったのは、実は主題である根性論の罪科では無く以下の点でした。

少子化という現実に反し、塾講師にのしかかる責務はあまりにも大きい。表向き生徒や親の前では「賑やかな塾」を装ってはいるが、通塾率が増加しないことによる営業不振はごまかしきれず、人手は足りなくなる。そのくせノルマだけが増えて、残った人が押し付けられる。

「根性がない人が仕事を辞める」って風潮誰が広めてるんだろう - ちしきよく。

2014年に代々木ゼミナールが大幅な事業縮小を余儀なくされて話題に上がりました。
www.nikkei.com

過去に駿台、代ゼミ、河合塾を三大予備校としていた頃の感覚で見ると信じ難かったけど、少子化や浪人生の減少を肌で感じた一事と記憶しています。とはいえ、何しろ学生生活なんて遠い昔なので喉元過ぎればすぐに忘却の彼方に葬ってしまいました。

個人経営学習塾は厳しい

そこでザックリ統計記事を調べてみたのですが、学習塾は最悪時の2009年の頃の再来と言えるくらい経営環境厳しくなっていますね。

教育関連業者の倒産、過去最悪に迫るペース | リセマムより引用:


2016年1月~11月末の教育関連業者の倒産は77件発生しており、2000年以降で最多となった2009年の93件に迫るペースで推移。負債総額は35億9,700万円と、すでに前年を上回っている。企業の倒産件数全体では2009年をピークに減少傾向が続くなか、教育関連業者の倒産は2015年より増加傾向にある。

体力のある資本金1億以上の大手予備校は安定している一方、1000万円以下の学習塾が倒産の75%を占めています。

http://www.ntt-tp.co.jp/lab/gyoukai/education/10/www.ntt-tp.co.jp

この記事でも構成員数の少ない個人経営の塾の数が顕著に減少していますね。

【学習塾業界動向】2020年度大学入試制度改革で、変わる学習塾。 | 3分読めば解かる業界動向~タウンページを考察して~より引用:


元々個人経営塾が多かった業界(図2)ですが、大手学習塾のフランチャイズ化が拡大し、個別学習指導型が定着、生徒獲得の広告宣伝費が増加している影響もあり、個人経営塾の数は年々減少してきています。

小規模の個人経営塾は生徒に合わせてのきめ細かい教育で一日の長があったのではないかと思うのですが、大手がフランチャイズ化して個別学習指導の領域を草刈り場にしてしまった結果のようです。体力がある大手は宣伝広告費も多く使うことが出来ますしね。

経営環境の変化と家庭の負担

お世話になった塾の先生はボランティアで生徒の送迎やティッシュ・チラシ配りをさせられていた。『安さ』がウリの塾だったから、そういうところに金は使いたくないらしい。

「根性がない人が仕事を辞める」って風潮誰が広めてるんだろう - ちしきよく。

id:zetakunさんの記事にはこのような記述もありました。経営環境の厳しさは、塾の中の立場の弱い人が煽りを食う形になっているようです。ただ、これ単純に家庭の払う謝礼金に反映しようと試みても、受け入れられないかもしれません。

先の経済産業省の特定サービス業実態調査の結果を見ると、平成25年と26年の比較で塾数、売上額、費用、受講生数が減っている一方で増えているものがあります。謝礼金です。売上額を受講生数で割るとざっくりとした謝礼金になると思うのですが25年が237,068円、26年が266,921円で29,854円増えています。たった1年でです。子どもが1人、1年でこれです。複数人子どもがいたり、複数年通わせたりするとなると累計額での増分負担は決して少ないとは言えません。

増加した負担に相当する効果やサービスの拡充が求められるのは必然的な流れとなる筈です。高くなったけれどサービスが維持、または劣化します…という提案が許容されるとはとても思えません。

ではどうすればいいのか?

残念ながら、ここまで調べた段階では、素人考えで解決策はパッとは思いつきませんでした。少なくとも弱い立場の人に何でもかんでも押し付けるなんていうのは言語道断な所業な訳ですが、大手が真似できないような強みを開発しなければ個人塾が顧客満足を勝ち取れる要素がありません。また、大手だからと言って安泰かというとそんな訳も無く、結局は業界全体が過酷な状況にあることは変わりないように思います。

しかし、かといって全ての学習塾が淘汰されるような状況になると生徒や親も行き場を無くして困る訳です。このような状況でお客様は神様的な立ち位置で注文をつけてばかりいると自分の首が締まるということはもっと知らしめられないとまずいのかも…とも思いました。

なんとも締まりがない話で恐縮ですけれど…

参考資料

経済産業省の特定サービス業実態調査(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-2.html)ご参考にどうぞ。経年的な調査結果で、正社員とアルバイトの員数もあり、この話題を深めるには最適な資料と思います。(Excelが無い場合はGoogleスプレッドシートなど互換系サービスで開いてみてください)

以下は予備校、学習塾の業界研究本の二版で最新状況を反映したものです。教育指導要領の変化にや世相の変化に対し、学習塾・予備校がどう生き残っていこうとしているかを見るのに良さそうです。

一方以下は、フランチャイズの観点から予備校、塾を凡例として切り取って分析したものです。題名に反して、予備校主体の内容では無いですが個人塾や従来型の予備校がフランチャイズ型に市場が喰われてしまうとはどういうことなのかを俯瞰するのに良さそうです。

幼稚園、保育園から大学受験にかけての従来からの学習塾、予備校の市場がシュリンクしていく中でどうしていくのが良いのでしょうか。

例えば、定年後や高齢層の学び市場や海外展開というのはこれまでも開拓しようとしてきた訳ですが、基礎体力が無い個人塾が手を広げるのは難しいしリスクが高いです。

一方視野を変えると国内の企業活動自体の内実も今注目を浴びています。ここ最近ヤマト運輸の運送業界での送料無料や再配達が過剰サービスではないか等です。様々なところで末端に煽りを喰わせることで成り立ってきたことが継続不能という事例がようやく表立つようになりました。

それらは元々問題自体は随分前から指摘はありましたが利便性から黙殺され続けました。蛸が自分の足を食って生き延びるようなあり方が続くわけがないという当然の帰結がようやく露見しつつあります。潮目が変わる中で、予備校・学習塾経営側だけではなく周辺の人間が認識を変えていくのは、少しでも前向きに考えていくうえで重要なことだろうと思いました。

素敵な発想が色々と出ると嬉しいな

なるほど!学童保育や保育園問題への解決にも進むかもしれませんね。規制緩和や色々と難しい課題はありそうですが、こういう発想素敵です。

イマドキの学習塾事情を少しだけ調べてみたら、思った以上に救いが無かった - ぐだぐだわーくす

両親共フルタイムで働いている家庭は子供の勉強を見る事が難しいので、学童保育兼学習塾みたいなサービスを提供出来ればニーズはあるかも。金銭的余裕もあるだろうから、多少高くても大丈夫なような。思い付きですが

2017/03/23 08:37