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政府の答弁書の本当の恐ろしさはどこにあるのか?

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こんにちは!DACです。

今日は何が何だかよく分からんなあ…という所感です。正直言ってこの所感自体的外れなのかもしれないのだけれど、自分の中では「これって変でしょ」と感じたところなので…

政府の答弁書の3割が質問を適当に躱して終わりになっている件

mainichi.jp

概要


政府が国会議員の質問主意書に対して閣議決定する答弁書で、質問内容に対し「意味するところが必ずしも明らかではない」と留保する文言が急増している。2000年以降の答弁書約1万2500件を調べると、同様の言い回しがあったのは約1300件。このうち第2次安倍内閣以降が6割超の約860件を占めた。
疑義があって野党が質問書をこしらえて提出しているのだけれど、政府側は「イミフ(意味不明)だから後で…」として3割くらいは実質ゼロ回答で答えないというお話です。

具体的には森友学園の件で昭恵夫人側から「森友学園」以外の働きかけや照会があったかどうかといった質問書にもこのような回答が戻ってきたそうです。回答延期という建前ですが、国会の審議期間に制約がある以上、実質は回答をしないという対応に等しい。その上に質問のどこがどのように不明であるかが分からず、不明点を明確化して質問を継続することも出来ない。

また、回答をするにしても質問の本質から外れた一般論、つまり木で鼻をくくったような回答が返ってくることもあるそうだ。これは3割の外数であるため、回答として意味を成すものの比率は7割には満たない。

記事では、識者の国会における政府の説明は近年、口頭や文書も含めて雑になっている。野党も国民に選ばれた代表なのだから説明には意を尽くすべきだという指摘で締めている。

感想

ぐだぐだ愚痴言ってる場合じゃないだろ、これ!

自分がこの記事を読んで出た第一声は「ぐだぐだ愚痴言ってる場合じゃないだろ、これ!」だった。憤りは当然だが、キーキー怒ったところで何の進展も期待できない。まともに答えさせる手段を取らないと結局このまま看過されるだけではないか?

国政調査権はどうなっているのか?

国政調査権とは、衆議院・参議院と言った議院の主権能の一つです。具体的には、日本国憲法第62条に「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定されています。

より具体的には、国会法第百四条で以下のような手順での質疑を既定しています。

  1. 各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない
  2. 内閣又は官公署が前項の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならない。その理由をその議院又は委員会において受諾し得る場合には、内閣又は官公署は、その報告又は記録の提出をする必要がない。
  3. 前項の理由を受諾することができない場合は、その議院又は委員会は、更にその報告又は記録の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、内閣又は官公署は、その報告又は記録の提出をする必要がない。
  4. 前項の要求後十日以内に、内閣がその声明を出さないときは、内閣又は官公署は、先に求められた報告又は記録の提出をしなければならない。

今回の話はどの部分に相当するか?

自分の理解では、質問書の提出が第1項に相当する。従って、質問書に対して内閣は必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。しかし、第2項にあるように理由があれば求めに応じず答えないことが認められている。今回で言えば「イミフ(「意味するところが必ずしも明らかではない)」が理由である。そこまでは確かに規定された通りだ。

ただし、報告や記録を提出しないためには前提条件がある。その理由をその議院又は委員会において受諾し得る場合にはがそれだ。つまり、その理由が妥当な理由であるかどうかを判断するのは質問を行った議院又は委員会が主体的に審査出来なければならない。

納得できない理由なら、内閣の無回答を認めてはならないのでは?

今回の報道では宮崎氏は「これでは何が『明らかではない』のかさえ分からない」と憤るとあるが、憤っている場合ではない。

不明瞭な理由を出した上でぬけぬけとゼロ回答を許すのはおかしい。そんな理由では話にならないから差し戻す権限が質問側にあるのではないか?確かに国政調査権は万能の権能ではない。人権、司法権、行政権のそれぞれに対して制約はある。しかし、例の挙げられるような行政周辺の調査であるならば何ら抵触するところではないだろう。

何かしら権能を行使できない理由があるのだろうか?

小生はこれらの法の運用実態を全く知らない。単純に文字面を見てこれでいけるんじゃないかと想定しているだけであって、実は全く論外のことを書いている可能性もあるだろう。素人が簡単に思いつくようなことを議員が見逃す訳がない。

しかし、もし打つ手が無いのだとすると質問書は回答する側が都合が悪ければいくらでもゼロ回答なり論点ずらしが出来るということになる。これは回答する側の品格が卑しいから問題なのではない。そのような制度をそのまま放置していること自体が問題だ。質問をしたなら期間内に回答がなされるように運用できなければ、質問制度自体意味を無くしてしまう。

その他の可能性として

もし、仮に理由の妥当性を問うて差戻しが有効であった場合、第3項のその議院又は委員会は、更にその報告又は記録の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができるの部分で止まるかもしれない。

2013年に成立した特定秘密の保護に関する法律に基づいて「ごめんね。これは国家の重大な利益に悪影響を及ぼす特定秘密相当だから、理由も明示できないしとにかく答えられないんだわ」という反応が返ってくるのかもしれない。しかし、そうなったらそうなったで、公益上の必要による特定秘密の提供について、国会に対し開示「するものとする」という義務規定が修正で追加された筈だけど…。

終わりに

素人丸出しでお恥ずかしい限りですが、色々とそれらしい規定があるのにぜーーーーーーんぶ無視ってありなんですか?日本って民主主義の国で法治国家ですよね。いくら一強内閣とはいえ、そんなに無体なことばかり通して許される訳ないと思っているんですけど、違ったのでしょうか?

政府の答弁書の本当の恐ろしさは、そういった無条件で信じていた大事なものをなし崩しに無かったことにしてしまうところにあると思います。

せめて何かしら一矢報いないことにはますます歯止めが無くなっていくような気がしてなりません。