徹底的にヤル気!東京都の受動喫煙防止条例の三分類を図示した
こんにちは、DACです。
今回は、東京都の罰則付き受動喫煙防止法案についてです。
東京都の受動喫煙防止条例(仮称)の正式表明
東京都の小池百合子知事は8日の記者会見で、罰則付きの受動喫煙防止条例を制定する方針を正式に表明した。近年の五輪・パラリンピックでの屋内禁煙の流れを踏まえ、2020年の開催都市として「スモークフリー」を打ち出す。法整備が遅れている国に先駆け、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会のある19年の施行をめざす。
- 受動喫煙防止条例、罰則付き19年施行へ、小池都知事、五輪にらみ厳格対応。-2017/9/9付日本経済新聞 朝刊
「スモークフリー」だと喫煙し放題に読めちゃう気もするんですが、小生は英語に自身が無いので強く突っ込めません。
積極推進派の厚生労働省と保守的な自民党(喫煙者に同情的)の対立で法案さえ提出できなかった国の先送りに対し、東京都が先行した形になりました。法律が施行されたとしても即座に対応出来るわけでは無く分煙施設を作ったり、禁煙レベル表示や喫煙場所誘導表示などを行うことを考えると、東京都の対応ですら遅い気もします。
とはいえ、まずはこの一手を明確に打ち出してきたのは大きいことでしょう。
禁煙範囲の3区分案
現状提示されている条例案は、ざっくり3つの禁煙範囲区分が設定されています。
上図は小生が東京都の資料を基に区分をベースに整理した物です。3つの区分は禁煙の強度によって適用範囲を決めています。正確には30平方メートル以内と以上の切れ目があったり、それぞれに更なる条件付けが細かくあるので上図はあくまでざっくりです。詳細は公式の「東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方」をご覧下さい。
基本的に公共の施設(つまり個人の住宅や事務所みたいな公共に提供されていない領域は除く)の敷地内についてどうするかです。敷地の外、つまり路上などの屋外喫煙については今回の対象外です。ただ、屋外なら喫煙し放題では無く、東京都であれば23区および各市町村といった自治体個別に条例(参考:路上喫煙禁止条例 - Wikipediaや路上喫煙と罰則|東京都の禁煙条例と禁煙エリア)を設置しているのでそれが適用されます。
従って、東京都内で喫煙可能な範囲というのは、ざっくり言って屋内喫煙所、敷地内屋外喫煙所、路上喫煙許可エリアに限定されるというように理解しました。
東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方への意見募集
あくまで条例案は案ですから確定ではありません。東京都は意見を募集しています。募集期間は、平成29年9月8日(金曜日)から平成29年10月6日(金曜日)までの約1ヶ月で既に意見を提出可能です。
方法は、Webのフォーム経由、FAX、郵送の3つが用意されています。電話での受付はありません。
意見を書くのに東京都民である必要はありません。恐らくですが、住んでいなくても通勤・通学者、観光者など都内に出入りする人は限定できませんから広く意見を取ることを想定しているのでしょう。
今後策定する条例に反映するほか、広く保健衛生行政の参考とさせていただきます
とありますから、意見を書いたから必ず反映されるという物ではありません。ただ、何も意見を出さなければ現行案をそのまま通すのでしょうから、異論や改善案がある場合はこの機会に意見を送ると良いのだろうと思います。
所感
思い切ったことをやったなあと思う一方でガチ過ぎで逃げ場が無いのでどの程度の実効性があるのかなという疑問も感じます。
確かに5万円の罰金は厳密に行われれば結構痛手でしょうし、国が足踏みしていた30平方メートル内の店舗での線引きは妥当なんじゃないかと思います。ただ、逆に言えばかなり厳しいのです。自分みたいな嫌煙的な立場から見てもこれは厳しい。区分を分けてはいるものの基本は全て禁煙です。「原則屋内禁止」は仕方なくお目こぼししてあげている…くらいの位置付けでしかありません。
喫煙者がよく指摘する論調として、海外の場合は室内禁煙は徹底しているものの路上喫煙はおおらかすぎるというか放置状態というのがあります。しかし、今回の条例では路上もまた各自治体の条例で広く喫煙が禁止されています。こうなると喫煙する場所というのが本当に少なくなるわけです。海外から訪日する喫煙者は、室内禁煙は当然の物として受け取りつつも室外禁煙に面食らうことになりそうです。
まあ、自治体の条例は本当にピンキリですし、実情としてそんなに厳しく取り締まり仕切れていないようでもあります。取り締まって罰金を科したところで嘘の住所や名前を伝えて逃げてしまうなどという報道も過去に見かけました。また、あくまで目安であって罰金が無い、従う義務が無いというものもあるようです。
現実問題、この条例も実行するためには相応の取り締まりの負荷がかかる筈で、取り締まりのために執行者をどれだけ用意出来るか、罰金を実効的に徴収できるかなどは課題になるでしょう。厳しくすればするほど隠れて吸うなども行われそうで、それを許容すれば有名無実化してしまいそうです。
個人的には「タバコなんて野蛮なものは一刻も早く消えてなくなってしまえ!」と願っているのですけれど、そう簡単じゃ無いよなあとも思うのです。