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挑戦の仕方が明暗を分ける!海外アニメ配信事業の敗北から学びたい

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こんにちは、DACです。

今回はアニメの配信事業に絡めて新事業の取り組みの明暗についてお話しします。

アニメの配信事業とは

アニメーションはテレビで放映されたり映画で放映されたりと基本はまずリアルタイムのストリーミングで提供されます。その後、DVDとかブルーレイディスクなど固定記録媒体に録画記録されたものが発売されます。最初から固定記録媒体で提供される場合もあって必ずしもこの時系列じゃありませんが、昔ながらの順番ではおおよそこうでした。ストリーミングを自前で録画して私的に楽しむというのもあるでしょう。或いはケーブルテレビのようなオンデマンドのアニメ専門チャンネルの利用などもあるでしょう。

でも、一方でここ数年来はインターネットの広帯域化も進み、ネットで複数のアニメ作品をミックスしてオンデマンドで見放題で視聴できる有料サービスも多く存在します。国内では古株であるバンダイチャンネルがまず2011年8月にサービスインしました。その他にもドコモが手がけるDアニメ、DTV、総合系配信ではHuluやNetflix、U-NEXT、アマゾンのアマゾンプライム・ビデオ他様々なサービスが増えては減りを繰り返し活況です。*1若干方向性が違うけどGyao!やAbemaTVもこの枠なのかもしれませんね。

日本から海外へのアニメ輸出

よくアニメは日本の輸出物の中でも隠れた優等生として評価されています。海外のテレビ放映事業者、ケーブルテレビへの提供、固定記録媒体の販売もありますが、ここでも配信事業の話が出てくる訳です。コンテンツやコンテンツの放映権を売るだけでは無く、配信事業ごと攻め込んじゃおうという話です。

もっともこの手の配信事業では日本の事業は後追いです。HuluやNetflixといった海外勢は遙か前に先行しシェアを獲得しています。日本国内は地元だし、日本がその手の配信では後進国で鎖国気味だったので同等に伍していられるわけですがあくまでそれはガラパゴス諸島的な生態系に過ぎません。

一旦、外に出れば差は歴然としています。そもそもHuluやNetflixは日本に来ているから国内認知があるだけで他にも世界では大手と言える事業者、それに追いつこうとする業者がしのぎを削っています。そこに食い込もうとするのは簡単では無い…と言いますか「今更?正気か?」というような挑戦なのです。

そもそも存在感が希薄

自分が物を知らないだけかもなので歯切れが良くは無いのですが、そもそも日本の配信事業者が海外に打って出ているということ自体知りませんでした。国内に侵略してくる巨人に必死で抵抗する力なき人間の兵団といった「侵略の巨人」のような構図にしか見えてなかったので反転攻勢に出ること自体想定にありませんでした。もしかすると色々やっていたし、今も果敢に戦闘中なのかもですがさっぱり存在を知りません。

バンダイナムコ、アニメ海外配信撤退

なんでこんなことを言い出すかというとこの報道で初めて海外進出の動きを知ったからです。

知ったときには既に敗走しているという出オチもいいところな話なのですが、読んでみるとなかなか泣けるお話しなのです。

  • バンダイナムコの100%子会社のアニメコンソーシアムジャパン(ACJ)が運営するアニメ配信サイト「ダイスキ」と、スマートフォン(スマホ)向けアプリのサービスを終了
  • ACJは2014年にバンナムとアサツーディ・ケイ、アニプレックスが共同で設立。その後、クールジャパン機構や講談社など15社が出資
  • 海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構、東京・港)も10億円を出資した「オールジャパン」の事業
  • ACJはなぜうまくいかなかったのか。業界関係者は口をそろえて「参加企業が有力コンテンツを出し渋った」と話す。

要はお国の税金を投入し、オールジャパンのお墨付きの日の丸事業者達が鼻息荒く船出したものの、肝心の有力コンテンツという兵站を絶たれて巨人の足に食いつくどころか存在もろくに認知されず泣き濡れている訳です。どこをどう贔屓目に見ても勘違いしていただけの負け犬です。

バンナムは先に挙げたバンダイチャンネル、アニプレックスも国内アニメ配信では名前が知れています。でも、全然話になりませんでした。そりゃ箱を作っても肝心の中身が無ければどうにもなりません。その意味では可哀想っちゃ可哀想な話です。

とはいえ、コンテンツホルダも心中したくは無い


 優良コンテンツを持つ企業が数多く参加し海外ファンを集めるはずが、各社はHulu(フールー)やネットフリックスなど会員数が格段に多い米国を基盤とする配信事業者にコンテンツを提供するのを優先した。ACJは会員が少ないからコンテンツが集まらない、いいコンテンツがないから会員が増えない――という負のスパイラルに陥ったようだ。

なんでコンテンツを提供しなかったかと言えばこれも道理です。コンテンツホルダーだって商売ですから、儲からないと思ったところには提供を渋ります。

アニメ以外だって同じこと

この手の話は別にアニメ配信だけに限りません。ゲームで言えば*2ゲーム機に対しゲームソフトメーカがどれだけソフトを提供するかもそのプラットフォームでの売上げを推定して決まるのです。少なければ必ず負けるというものでもありませんが苦戦は強いられます。

株だって同じです。色々な要因があってお国の政治や為替の影響など大がかりな物からネットの噂のようなもの、他の株主の動き等を含めて値段が上下動します。引く時は潮が引くようにザザッと引きますし、押し寄せる時はまた節操なく詰め寄ってくるものです。

門外漢だった筈のSONYのアニメ関連の動きが面白い

門外漢と言い切ってしまうとつっこまれそう。

元々AV機器に強く、バブルで羽振りがいいときにコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントを買収し、ゲーム事業も手がけ、子会社ではアニメ専門に扱っているから確かに完全に畑違いでは無い。むしろ親和性は高い。


ソニーの映画子会社、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは1日、日本のアニメ作品を米国で配給する米ファニメーション・プロダクションズを1億4300万ドル(約157億円)で買収すると発表した。ソニーの映画子会社は映画制作のほか、衛星放送やケーブルテレビで多様な番組を提供しており、米国で人気が高まっているアニメ配信の強化で事業を拡大する。

とはいえ、SONYといえばやはり電化製品あってのSONYでアニメに手を出すというのは少し意外性がある。特に昨今の地獄を見てから復帰を果たしたSONYが業態を広げようという動きはある種の決意を感じる。

また、ファニメーションというある種非常に手頃な値段の良い物件に手をつけたところも目の付け所が良い。自前で何でも作ってやろうでは無く既に販路も顧客もコンテンツの調達導線も整備し終わっているところを支配し資本でブーストをかけるというのはとても効率的だ。


ファニメーションは「ドラゴンボールZ」や「ワンピース」など約450以上の日本のアニメ作品を、英語に吹き替えたり字幕を付けたりして、米国のテレビ局などに配給している。ネットでの定額配信サービスも運営し、DVDなどの関連製品も販売している。売上高は非開示。
何でも自前で抱え込もう、一から城を作り上げようと10億円を溶かしただけで必要な投資も考慮していなかった事例との対比は鮮やかだ。*3

終わりに

ここで書いた二例はアニメがどうというより、生きるお金の使い方の違い、事業をどう伸ばそうとするかどう生き残ろうとするかの姿勢の違いの話だと思う。

無論先のことは分からない。SONYの事例もまた大成功をするのか鳴かず飛ばずで敗走するのかなど結果のみが語ることであって予想に意味など無い。それでも個人的には、SONYの試みに闇の中の一筋の光明が見える気がする。

既存事業領域に固執しすぎず、自前の枠だけでなく他力を上手く使うのは、日本企業の歩むべき道筋なのではないだろうか?経営者にとって事業の選択と集中は、不採算事業を切り人を使い捨てにするものを指すようだけれど、果敢に今ないものを作り上げる姿勢があるべきではないだろうか?当然失敗も沢山あるだろうけれど、種をまかねば芽が出ることは決して無い。

過去の成功にしがみつかず種をまくこと、そして自分の力量を過たずあるものは上手く使ってしまうことに躊躇しないことが大事だろう。これは事業だけでは無く、人の生き方にも通じることなのだろうと思う。

*1:利用者としてはどれを選べば良いのと目移りし、業者的にはいかにシェアを獲得するかで死に物狂いになるレッドオーシャン化状況なのかもです。でも、競争関係がある分健全なのかな?

*2:これを言い出すとコアな人が戦争を引き起こすのですが

*3:秀吉の墨俣城じゃないんだし、そんなこけおどしでどうこうなるような敵じゃなかろうよ(*‘ω‘ *)。バーカバーカ