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インドの「ロミオ取り締まり隊」報道に感じた物足りなさ

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こんにちは、DACです。

どうもidでdacsと付けてるのでdacsと呼ばれること多くなってるんですけど、DACです。これははてなid登録上の都合なのです。4文字以上だったか重複だったか忘れましたが、登録上制約があって仕方なくdac's(DACの…)的に付けたんです。どうもこれはちょっと本人的には不本意なので何かしら手を打とうと考えているところです。(*‘ω‘ *)*1

さて、閑話休題で今回はインドのとある問題についてお話します。

今回のネタ元記事

www.excite.co.jp
元々は毎日新聞の記事ですけど、毎日新聞だとID登録するか購読していないと全文読めないのでExciteに提供された方にリンクしています。

概要

インドの首都ニューデリーに隣接する北部ウッタルプラデシュ州で、州政府が性犯罪から女性を守るために新設した警官隊が若者の不評を買っている。本来は女性に付きまとう迷惑行為を行う男性の組合せ、男女による犯罪行為を発見し問題の芽を摘み取ることが趣旨だ。

しかし、巡回警備を受け持つ「ロミオ取締隊」は本来取締り対象外の夫婦やカップルに対し、名前や電話番号等を職務質問し果ては公園から追い出す、警告、警察署連行といった暴挙に及んでいるという。元々の趣旨は別として取締り対象の判別基準が不鮮明で精度が低く、「人権侵害だ」との声も挙がっている。

感想

海外のことだし、変なことをするもんだな…というのが最初の感想だった。恐らくこの記事のみを読んだ人は、大概同じ感慨を持ち「海外のことだし、自分には関係ないな」と気にもかけないことだろうと思う。

しかし、その判断はちょっと待ってほしい。これは単純にそう切って捨てるような話ではない。

実は今年の2月以降ずっと問題になっていた

ロイターの「インドのロミオ取締隊は若者やカップルに嫌がらせしたので告発されている」を読んでみた。実は毎日新聞の記事以前にこの問題は表面化しており、盛んに報道されていた。事の次第は毎日と同じで略するが、悪さをした男性が罰として腹筋運動を強制されたり、頭を剃られたりしたそうである。

取締の過激化を問題視した女性権利の活動家達20名が動き、ウッタルプラデシュ州首長のYogi Adityanath氏をインドの首脳であるナレンドラ・モディ氏の議会詮議の場に召喚し、「ロミオ取締隊」の解散を指示する流れとなった。ロミオ取締隊は女性に対するハラスメントや暴力に対して有効な対処手段ではないし、むしろ多くの男女に対し恐怖やハラスメントを与える存在になっているためだった。

しかし、ウッタルプラデシュ州はこの指示に対し不服の意を示すと同時に州首長補佐官が「「ロミオ取締隊」は非常に良い仕事をなしており、州全体の人々に歓迎されている」と記者会見で述べたという。

名前から想像するような可愛い存在ではない「ロメオ取締隊」

文字で書いても実態のイメージは湧きにくいだろう。以下の動画を見てほしい。
www.youtube.com
制服のいかめしい警備隊に捕まえられた男性が車に載せられ連行されていく。彼が本当に取締対象だったかどうかは分からない。しかし、濡れ衣で隊に声をかけられたり罰を受けさせられることは想像するだに恐ろしい。確かにこれは問題なのかもしれないように見える。

そもそも何故こんな取締が行われているか?

ここまで読んでも州政府の暴走としか読み取れないだろう。

しかし、そもそも何故こんな取締が行われているか?

多発する女性へのハラスメント


here were more than 91,000 reports of sexual harassment of women in India in 2015 - an 80 percent rise from 2010, according to the National Crime Records Bureau (NCRB).

With a population of 200 million people, Uttar Pradesh, India's largest state accounted for almost nine percent of all reports of sexual harassment in 2015.

The Uttar Pradesh government has dismissed criticism of the squads and blamed opposition politicians of attempting to tarnish the efforts of Modi's Bharatiya Janata Party.

国家犯罪記録局(NCRB)によると、2015年にインドで91,000件以上のセクシュアル・ハラスメントが報告され、2010年から80%増加した。人口2億人のインド最大の州であるウッタルプラデシュ州では、2015年のセクシュアル・ハラスメント報告の9%を占めている。これは単純に計算すると8,200件くらいとなる。

ハラスメントという言葉で括らないほうが良い

確かに日本の女性に対するハラスメントも看過すべきではないし、ストーカー殺人、DV等の問題はようやく表沙汰になってきている。

しかし、インドの女性ハラスメントは日本でいうところのハラスメントとは次元が違う。そんな生易しい状況ではない。以降は気分が悪くなる方は読み進まないほうが良いが、現実はこれだけ酷い。
www.huffingtonpost.jp
誘拐や拉致事件、そして、持参金不払い殺人数が最多だったのは、インドで最も人口が多い「北の州」であるウッタル・プラデーシュ州であると報告されている。持参金不払い殺人に至っては、慣習としていまだ根強いところであるし、拷問どころか人として越えてはいけない領域の殺傷行為が半ば日常的に発生している面もある。

方法の是非はあるものの

方法が問題であることは間違いないが、かといって一概に「ロミオ取締隊は悪である」の認識では状況を見誤ると言える。

インド首相のナレンドラ・モディ氏も現実難しい立ち位置だろう。彼自身ウッタルプラデシュ州を票田として中央首長となった出自には少なからず影響があるだろう。

終わりに

国内新聞は比較的近隣の中国、韓国、北朝鮮、台湾、あとは欧米を海外面で扱うが、他国を扱うのは非常に珍しい。そういったこともあり、現地特派員の書いたこの記事は前向きに評価したい。

しかし、この切り取り方では単純にインドの一地方の珍事件としてしか消化されないだろう。それはあまりに勿体ないことだ。与えられたコマの制約がこういう形にしたものと思うが、より研鑽されたい。

*1:他の方にはどうでも良いことだとしても、20年近く使っていますからね。最早もう一つの名前なんですよ