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QOL!WLB!!それでも仕事と休みの間には今日も冷たい雨が降る?

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こんにちは、DACです。

今回は、仕事とお休みのお話についてです。

仕事とお休みの話はすぐ過激な話になってしまう

会社生活に不満を持っていたり、仕事内容に違和感を持っている人が「仕事とお休み」の話に絡むと必ずと言って良いほど話は荒れます。理由は簡単で、普段不満に思っている全ての要素のはけ口にされてしまうからです。会社に対して普段言えてない不満や愚痴、恨み辛みがここぞとばかりに出てしまう。会社に行くのも憂鬱でつらい、それが高じて会社を辞めてフリーランスになった人、そもそも仕事自体を一切しなくなった人、或いは出来なくなった人、人にはそれぞれ色んな立場があるでしょう。

その中で「仕事とお休みをどうしていくのが良いだろうか?どう快適にするのがより現実的な改善か?」という問いに対し「そもそも経営が」「社畜社会では無理」「日本は終わっている」「仕事は嫌い」「あいつが嫌い、死ねば良いのに」といった反応が返ってきがちです。気持ちは汲み取るべきものはあったとしても、およそ回答としては的外れだし問いそのものをわざと曲解している節すらあります。

しかし、そういう論点外しは質問に対して本質的では無い、正確にはそれぞれの本質的な課題がバラバラだから同一の盤上で議論するのが極めて不適切なので、今回はそういった反応は全て排除した上で話を進めます。

仕事とお休みの話とは

前提を纏めるための閑話休題。ここでいう仕事とお休みの話とは、どれだけの時間働いてどれだけの時間休むか、或いはどのように働いてどのように休むかという話です。いわゆるワークライフバランスとかQOLをどうするかという話です。

こう書いてしまうと「自分には可処分時間を左右できない(仕事に振り回されて休みを自由に出来ない)」人は既にして自虐か諦め、或いは妬み恨みによる攻撃に転じがちですが、それも措きましょう。まずは理屈を固めないと話が纏まりません。

例えば、朝9時に出社して定時は17時30分。でも、仕事があって22時まで仕事をせざるを得ない。実は仕事が毎日そんなにあるわけじゃ無いけれど同僚や上長が働いているから帰りにくいということもあるでしょう。あるいは評価を下げたくない。時間給加算を生活上どうしても欲しいから残業する人もいるでしょう。まあ、この際そういった理由もどうでも良いです。仮にこの前提で通勤時間がドアtoドアで1時間と仮定します。家にいられる時間は23時から朝8時です。昼食以外を家で取る前提ならそこから朝と夜に最低30分ずつで1時間、お風呂にも30分入るとして残時間は7時間30分。睡眠にあてる事が可能な最大時間がそれです。

この前提では平日は食べて風呂入って寝る以外は全て会社です。家族と話す時間も無ければ、その他の生活時間も全くのりしろとして存在しません。勿論食事や風呂の時間に平行して会話やテレビ、スマホ操作他を実行できますが、それでも十分とは言えません。不足であればどうするかと言えば、その状況を甘んじて受け入れるか睡眠時間を削るかです。可処分時間そのものが増えない限りはその中でやり繰りするしかありません。

勤務間インターバル制度の試み

昨年に広告大手電通の違法残業事件で高橋まつりさんが亡くなってから、過労死対策をせねばならないという社会的な要請は強くなっています。電通違法残業事件、正式裁判に 東京簡裁「略式不相当」とのことで東京簡裁は12日、労働基準法違反罪で電通を罰金刑とする略式命令を不相当と判断し、正式な裁判を開くことを決めたとのことでした。この件に関してだけでもまだ解決すべき問題は山積しています。

一方、政府でも働き方実現会議働き方改革の実現といった動きがあります。民間でも色々と試行錯誤がなされつつあり、その一つとして着目されるのは「勤務間インターバル制度」です。

勤務間インターバル制度とは

名前のままです。勤務終了後、一定時間以上の「休息期間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

先の例で言えば、退社から出社までの時間を一定以上の時間固定的に確保する、つまり、先の例で言えば22時から9時までの11時間を13時間と設定すれば、必ずその時間だけ休息時間の確保を義務づけられます。これは、退社時間や出社時間を固定するものではないので22時退勤ならば翌日11時以降出社しか許されず、17時30分退社であれば翌6時30分以降の出社なら許されるとするものです。
www.mhlw.go.jp

発想自体は古く、EU(ヨーロッパ連合)加盟国では、1993年に制定されたEU労働時間指令によって、「24時間につき最低連続11時間の休息時間」を義務化する勤務間インターバル規制を原型として2009年の春季労使交渉(春闘)から「可能な組合においてはインターバル規制の導入に向けた労使間協議を促進する」ことを方針に掲げています。そして同年、傘下の「全国情報・通信・設備建設労働組合連合会」(通建連合)に加入する12社とKDDIで導入が実現し、翌2010年にはさらに通建連合加入の2社が導入を果たしとのことです。(「勤務間インターバル規制」とは? - 『日本の人事部』

勤務間インターバル制度に関する最近の動き

決して目新しい制度ではありませんが、最近動きが少し活発化してきてようで以下日経新聞7/29夕刊で報道がありました。


宅配最大手のヤマト運輸が10月から導入するほか、外食大手のゼンショーホールディングス(HD)も年内に一部店舗で実験を始める。製造業では自動車部品の曙ブレーキ工業も2018年4月から導入する。働き手がしっかり休めるようになる一方、より効率的に働くよう意識改革が求められる。

ユニチャームの制度事例

具体例としてユニチャームが挙げられており、どう運用されているかが分かります。


勤務間インターバルを1月に導入したユニ・チャームでは残業規制の一環として、退勤から翌日の出勤までの間を8時間以上空けるよう義務付けた。新制度導入から半年以上がたち、社員の働き方が変わってきている。同社では社員のパソコンに帰宅を促すメッセージが自動で表示されるようになった。終業時間の午後4時50分と残業時間の上限である夜10時、深夜0時に3回、それぞれの時間に働いている社員向けに発信する。
これを読んでみてすぐに思ったのは、「え。たった8時間かよ」でした。先の試算ですら11時間。それより3時間短い。つまり、先の試算通りでやるなら睡眠にあてられる時間は4時間30分。どうみても危険領域です。

勿論これは「最短これだけは休息しなさいと言う義務であって8時間休んだら必ず出社しなさい」ではありません。ただ、よく鍛えられた社畜精神はそう受け止めてしまいがちだし、会社もそういう応報的反応を期待するスケベ心を持っているのではないかという疑いを小生は持ちました。22時と0時の発信とか、それを受け取るような労働環境の人がいるから行っているのでしょう。16時50分は比較的早い終業時間設定だけれどそこから22時まで5時間何も通知が無いというのはちょっとしたホラーというかサスペンスだと思うのです。

ユニチャームの社員視点

とはいえ、記事中では上手く纏めることを意図してか社員視点も調べて伝えています。


法務部の飯尾成さんは、「時間を意識して働くように変わった」と語る。昨年までは午後9時、10時まで仕事をしていたが、今は同じ仕事量をこなしつつ、7時には帰るよう心掛けている。休息に対する意識も高まった。「健康管理も仕事の一つ」(飯尾さん)と考え、「毎日遅くとも11時半には床に就くようにしている」。睡眠への関心も高まり、「関連書籍を買って読むようになった」ほか、昼休みに短時間の仮眠を取るようにしているという。

制度側で全て帰られるといういう訳では無く、社員自身がその仕組みをどう使うか、どう意識を変えるかという部分が制度運用の鍵のように読み取りました。

大前研一さんが「日本人は自分で有給休暇を取得できないから行政側で祝祭日を設定し大手をふるって誰でも横並びで休むしかないチキンで情けない国民性だ」といった趣旨のことを言っていました。非常にムカつきますが、否定しがたい説です。この勤務間インターバル制度もどう使うか、どう受け取るかが運用上大事なのでしょう。

実行半年で骨抜きというか存在感皆無となったプレミアムフライデーが受け入れられないのは、制度設計が9割駄目だったのですが1割程度は受け入れる側の意識の問題と思うのです。

制度設計の問題

運用が大事とは書きましたが、それでも日本の勤務間インターバル制度には課題が沢山あるとも思いました。オリジナルのEUで11時間でユニチャームは8時間です。単純に時間比較で3時間は大きく無視できない差です。更に内訳の違いがあると思います。


例えば残業で午後11時まで働いたとすると、翌日の勤務は11時間のインターバルをはさんで、午前10時まで免除されることになります。この場合、勤務する会社の就業規則が始業の定時を午前9時と定めていても、定時までに出社する必要はなく、勤務に就かなかった9時から10時までの1時間分の賃金もカットされることはありません。

要はEUの場合、単に出てくるべからず…ではなく、その時間は有給休暇のように給与対象となるのです。ユニチャームではその記述はありませんが、日本の経営者の思考傾向から言えば、「過労死されては困るので仕方ないから休息は義務化する。外面もよく出来て就職希望者も増えるし社会評価もあがる。だけど、働いてないから給与カットな。当たり前だろ」となるんじゃないでしょうか?

濡れ衣ならそう伝えて頂ければ訂正、謝罪はやぶさかではありませんが、これは他の全ての国内企業の経営者の姿勢に疑念を挺したものです。制度設計とは本来どう受け止められるか、どういう目標を設定しどういうプロセスでどう結果を出すかがないと形だけのものにしかならないものです。残念ながら過労死大国の日本において経営者に対して不信をもって遇するのは当然と受け止めて貰いたいものです。

他社の動き

他社の動きとして以下のように報じられています。


ヤマト運輸は退社から出社まで最低10時間以上空ける制度を導入する。トラック運転手らが長時間労働を強いられており、労働組合が導入を求めていた。ニトリHDは8月にも導入。牛丼店「すき家」などを運営するゼンショーHDも制度の導入で労使が合意した。

製造業では曙ブレーキ工業がインターバルを11時間とするルールを定める。間接部門や工場で働く社員など国内グループ約3700人が対象。働きやすい環境を整える。

出来れば、こういった事例は先の疑念もあるので同じ尺度でどういった条件下で運用されるのかを横並びでリスト化したものを国民に共有して貰いたいです。それぞれが個々に行ってそれぞれの定義で「我が社は社員のために勤務間インターバル制度を導入しています。ホワイト企業でしょ?」とドヤ顔するのではなく、同じ土俵でその取り組みの星取り表というか成績表があって然るべきと思います。

本当に社員のワークライフバランスを思っての取り組みであるならば、「比較されるのは嫌」とか「社内秘なんで」とかいう逃げを打つ必要はありません。それこそ胸を張って「我が社は…」と誇って下さって結構です。出来ますかね?(*‘ω‘ *)

終わりに

冒頭愚痴の類や悪意は受け付けないと書きましたけど、小生自身が書いているうちに煽りをいれるようになってしまいました。いやはやお恥ずかしい。

残念ながら労組は御用労組ばかりで経営者にべったり、労働者には「労組はしっかり主張しています!」などとやってるアピールをするだけのところが多いと思います。連合ですら、「残業代ゼロ」容認撤回へ 政労使合意見送りのような役立たずぶり、旧態依然ぶりを発揮しています。その状況下では自分が楽しく生きて、仕事は仕事、生活は生活と生き生きと過ごせるようになる日は多くの人にとってまだ見果てぬ夢です。或いは「そんなものあるの?美味しいの?」という妄想の域かも知れません。

しかし、曲がりなりにもこうやって脚光を浴びているタイミングはチャンスです。ドサクサ紛れでもなんでも良いので自分の労働環境改善には声をあげていきたいものです。絵に描いた餅でも思い浮かべて望むなら本当に手に入る確率も上がります。陳腐な引用ですがあきらめたらそこで試合終了なのです。
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ただ、ここでよく考えて欲しいことがあります。EU労働時間指令のような規制がそのまま諸手をあげて受け入れる類のものではないことも付記します。結果としてこの指令を徹底したが故のEUの生産性低下であり競争力低下を招いたとも言われます。あくまでこれはモデルケースです。

何を最終的に実として取るかが大事なのであり、勤務間インターバル制度を模倣することが大事なのではありません。よくよく働きたくない人が北欧諸国やスイスの成果の良いところ取りをして「これだから日本は」とやりますが、あれはあれで極めて有害です。

鵜呑みにするのではなくどういう形にしていくのが良いのか、どうしていきたいのかを自分たちで考えていきたいですね。