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マストドンを知るための私的な情報蒐集

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こんにちは!DAC(id:dacs)です。

ここ最近唐突にマストドンというTwitterライクな仕組みの話題をよく見かけます。

物は試しと日本人が多いという「mstdn.jp - mstdn.jp」というインスタンスにアカウントを作ってみました。でも、どうもこの仕組みの良さというものがピンときません。Twitterっぽい仕組みを分散処理化したサーバで行うというのは、BittorrentやWinnyなどのP2P、遡ればIRCみたいな思想に基づくものなのでしょう。

でも、急にアテンションが集まってしまったためか、熱量が溢れまくっている割に結局のところこれは何がしたいのか、何のメリットがあるのかが良く分かりませんでした。自分の少ない偏った知識だけではどうも測ることが出来層が無いので、マストドンの台頭に同期して現れた目立つ書き物を手あたり次第に読んで思ったなりの寸評を書いてみることにしました。

注:このエントリは最低4/16中は固定化しません

指摘蒐集のため、書きながら公開します。

従って構成や所感は、状況に応じてガリガリゴリゴリ変えます。一旦編集終了を記載するまでは固定化出来ません。恐縮ですがその旨ご了承ください。

4/17一旦編集終了

大きな変化があれば追加しますが、まず一旦固定とします。

マストドンとは

www.itmedia.co.jp

日本でマストドンが注目を浴びる最初の切っ掛けとなった記事だろうと思います。

製作者であるRochko氏が「Mastodonは分散化したプラットフォームであり、コミュニケーションが単一の企業に独占されるリスクを避けられる」と主張しているとのこと。分散したインスタンスは現在600以上あり、それぞれにローカルな情報のセグメントを持つこと(「ローカルタイムライン」(そのインスタンスに参加するユーザーの投稿))や他の連携するインスタンスとの統合した連邦タイムラインといったユーザ観点での利用概念の説明があります。

ざっくりとしたマストドンのポイントを把握したい場合は、「『マストドン』は日本でブレイクするのか?(神田敏晶) - 個人 - Yahoo!ニュース」が分かりやすいです。

より出来の良い纏めが後続でどんどん出来ています。
wepli-dot2.hatenablog.com

あの象っぽいのは何?

これは今回のサービスそのものの説明ではなく、マストドンという動物の説明。Mustdonのアイコンとなっている象ライクなキャラクタは象ではなくこれのことでしょう。

マストドン - Wikipediaより引用:


マストドン英語:Mastodon、Mammut)は、ゾウ目マムート科マムート属に属する、大型の哺乳類の総称。ゾウマンモスに似ている。約4000万年前から11000年前まで生存していた。(中略)

体高は2~3メートルで、短い褐色の毛を持っていたとも言われる。1万1000年前までアメリカに生息していたアメリカマストドン(M. americanum)をはじめ、数種類の化石が発見されている。

寄せられる期待

mizchi.hatenablog.com

マストドンに期待するのは、邪悪で傲慢になり続けるTwitterに対する競争相手になってくれることで、理想的には、Twitter側が GNU Social に対応せざるを得なくなるぐらい落ちぶれて、マストドンの1つのサーバーというレベルにまで蹴落とされるのが望ましい。UIとインフラで差別化してほしい。そうするとGNU Socialというマイクロブロギングの1プロトコルという立場で、オープンなプロトコルとして、互換サービス郡のエコシステムが花開くだろう。 昔はTumblrがそうなると予想していたが、そうならなかった。

マストドンについて所感 - mizchi's blog

邪悪で傲慢というのは、適当にTwitterに触れているだけの末端ユーザとしてはあまりピンと来ない話です。

とはいえこの観点は製作者の方の発言とも共通するところでしょう。また、確かにTumblrがごった煮のコンテンツ共有サービスとして出現したとき、Twitterとはまた別の期待を持って迎えたというのは自分にも実感があります。

バベルの塔は崩れたのか?|菊池良|note」は例えとして秀逸で、分断化の魅力、期待感を示すと同時に危険性も示唆するエントリとなっています。

japan.cnet.com
企業がバックアップすると確かに商用パソコン通信によく似ています。ただ、草の根BBS的に個人が開設する運用が本来目指すところだった筈だけど、これだけユーザが殺到すると全く需要に対してインフラが見合いません。既にそういう牧歌的な運用が成り立ちにくい環境がある状態なのでしょうね。

ただ、大騒ぎしているインスタンスとは別に草の根ネットワーク的な中小規模の個人インスタンスが育つといいなとは思います。懐古趣味ですけどね。

無防備に飛び込んじゃうお馬鹿さんへの忠告

kyoumoe.hatenablog.com

確かにね。この初期段階で捨てアドレス、捨てパスワード使ってない人の無防備さは凄い。ある意味尊敬します。人柱やるんじゃなくて最初から移住する気満々というのは、いくらなんでも時期尚早だし、抜かれて大騒ぎとかいうのはお馬鹿さんだというのは同感です。

インタフェースの旧態依然さ

ある程度受け入れられたインタフェースではありますけど、同感です。

リモート削除を行うための仕組みが無い

インスタンスの運用者が直接個別の書き込みに手を入れていくのは余程小規模でなければ現実的とは言えません。後述する特定傾向の書き込みやインスタンス運用側が志向する方向と違う書き込みで埋められた場合どうにもならなくなる可能性があります。

勿論それを込みで自前で運用ツールを作るなり、フォークしてマストドンの開発に参入出来る実力、余裕がある運用者、運用組織であれば問題ありません。しかし、そのハードルは相当高いでしょう。

インスタンスの個人サーバでの運用は無理

www.itmedia.co.jp

3月11日に自宅の個人サーバで開始した「mstdn.jp - mstdn.jp」インスタンスは、殺到したユーザの負荷に耐えかねてさくらのクラウドに移動することになったという記事です。

単一企業にコミュニケーションを独占されないということと併せ、負荷を分散するという観点がマストドンにはあるのだと思います。しかし、現状存在する600超のインスタンスは個々にローカルタイムラインを抱えて孤立化しているのが実態なのでしょう。特に日本語圏においてはこのインスタンスが単体で紹介され、それ以外の連邦を組むインスタンスの有無が分からない状況と思います。

つまり、事実上連邦タイムラインによる負荷分散が効かず、非力な一カ所に全く不釣り合いの膨大なアクセスが集まっている状況です。アクセス負荷自体はクラウド管理に移行すればマシになるでしょうけれど、問題はそれにとどまらないでしょう。

こちらでも期待を大きく語られつつ、データ処理集中による負荷管理リスクを触れられています。

移管に際しては様々な大手から声がかかったようです。
togetter.com

サーバ切替で一瞬首位陥落したもののすぐに返り咲いたとのこと。

当面の本質的な問題

他の連邦するインスタンスが複数設置され、それに合わせてユーザがそれぞれのインスタンスに住み分けるという仕切り直しが必要です。日本語圏というザックリと大括りなインスタンスは本来目指すところではないでしょう。それは連邦の役目と思います。

勿論、「mstdn.jp - mstdn.jp」がインスタンスではなく、連邦的に機能するように内部を複数のインスタンスに分けてソフトランディングさせるという手段もあるでしょう。あえて、ソフトと書きましたが、それはいっちょ噛みで殺到しているユーザにとってのソフトであって、運営側にとっては大手術です。個人サーバでインスタンスを設置した方だけで行えることではないでしょう。

結果的に運営を組織化するか、或いは担う能力がある組織に運営移管するという流れになるのが自然に見えます。そうなると製作者が主張していた企業による独占リスクからは真逆になるのですけれど…。組織体が私企業である必要は無いので、利益を追わない管理組織を新設するなり、大学のような組織体に委ねるという手もあるでしょう。

個人が担い続けることの問題

cpplover.blogspot.com

こちらのエントリでは、個人が運営を行うことは企業が行うよりクリーンで安全であるという主張に対して「個人が邪悪になるのは制約が皆無に等しいので問題である」という反証を行っています。いちいちおっしゃる通りと首肯しながら読みました。

また、過去のP2Pの死屍累々たる歴史を振り返りながら、ソフトウェアでP2Pメッシュネットワークによる全員が平等なネットワークの構築の失敗、マストドンと通底する問題点を指摘しています。解決策の前提として物理層からのP2Pメッシュネットワークの構築を示す一方で、その実現性の厳しさについても示しています。

内容に比して非常に簡潔ですが、問題点を明確に抑えている素晴らしいエントリだと思いました。

企業としてピクシブがインスタンスを新設

pawoo.net

一方状況は動いていて、ピクシブがインスタンスを新設したという情報もありました。
www.buzzfeed.com

「この火が消えないうちに」pixivが「マストドン」にいち早く企業として参入したわけより引用:


このサービスの可能性や魅力が正しく伝わらないまま終わってしまうのでは……。そんな焦りから、しっかりしたインフラを用意し、企業として提供できないかを会社に提案したという。

現場の声を聞いた伊藤浩樹社長も「僕らがやらない手はない、クリエイターの創作活動とコミュニケーションを支援できる場になるかもしれない」と快諾。

負荷に耐えられないだろう個人ではなく、インフラを組織体が支えなければいけないという使命感が語られています。

コンテンツによる住み分け、分断化の問題

その一方で、既存のインフラでは共有が許されないポルノ的な表現の支援という側面もあるようで、私企業、或いは特定のユーザの利便という観点もあるようです。結果として他インスタンスから連邦を拒絶されるという事態も発生しているようです。

この観点自体は「検閲を受けない」「個別の嗜好への住み分け」という本来の設計思想に沿っているようにも思えますが、その方向性から孤立したインスタンスが多く発生したり、特定の嗜好に偏った連邦が発生する方向になっていくのかもしれません。

www.itmedia.co.jp

肯定的な見方もあり


設計思想の根幹と繋がる内容であるため、単純に問題として切り捨てるのではなく評価ポイントでもあるのでしょう。

現在の対応状況


その解決策をPawooの運営をしているpixiv、日本以外のインスタンス、Mastodonの作者らが協議しながら模索しているところだ。

 24歳の若きMastodon作者、オイゲン・ロックさんは、次のようにトゥートしている:

 ロリコンテンツに関する報告が増えているので、reject_mediaのトグルでsilence型を使い、pawoo.netにドメインブロックを適用した。

github.com
コンテンツによってどうキャッシュしていくかについての議論がなされています。

状況は急速に変わっているようです。

キヌガサがインスタンスとして復活

kinugasa.me

Mastodon開発者とpixivのPawoo、ロリ絵対策について議論する - ITmedia NEWSより引用:


それだけではない。日本のインスタンスがいろいろなところでボコボコと立ち上がっている。今日は家入一真さんがなんと、往年のSNS「キヌガサ」をMastodonインスタンスで復活させた。

これも企業体によるインスタンスですね。まだ全然注目されていないので、混んでいるところに嫌気がさした場合とりあえずの待避所になるかも…。

マストドンのインスタンスリスト

有名どころは記事に取り上げられているのですが、それ以外どんなインスタンスがあるか知りたいですよね。

詳細は、リストとしてMastodon instancesに羅列されています。
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このエントリを編集した時点で「There are currently 772 instances being tracked, with a total of 283875 users.」だそうでインスタンスが772、ユーザが28万アカウント。まだまだメジャーなSNSに比べればけし粒と言ってよい程度に小規模ですね。

この時点で個別の個人管理インスタンスが負荷で喘いでいる状況であるならば、やはり組織体による運営への移行は必然と言えましょう。

日本のマストドンのインスタンスリスト

上記されている日本のインスタンスについて抜き出すと以下の通りです。ドメインでは判別できないので他にあっても即座には分かりませんね。

ユーザ用

マストドンの初期設定手順

色々なところで書かれていますね。
sbapp.net

マストドンデータのバックアップ

データが吹っ飛んでもリカバリできるようにバックアップする方法です。
netafull.net

現状安定稼働には程遠いため、データ破損が発生した場合インスタンス管理側に復旧を期待出来ないでしょう。また、運用ポリシーが固まっていない現状では事故ではなく運用都合から既存データを削除することも想定しておく必要があります。失って困るのであればローカルバックアップ、或いは所有するクラウドストレージへのバックアップをユーザ側で整備しておいた方が良いでしょう。

一味違う設定

Twitterの公式アカウント認証マークに似ていますけど、誰でも出来ちゃうものなので飾りみたいものですね。悪用されたりしないことを祈ります。

他所の纏め情報

hikipuro.hatenadiary.jp

不具合対応情報などもあり

書いていて途中で見つけました。こんな立派なのあるなら纏めるまでも無かった気もする(*'ω'*)。

特に不具合対応の部分はユーザなら目を通しておいた方が良いでしょう。

分類不能