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国内電機メーカの昏迷、富士通の携帯事業売却の報道に寄せて

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こんにちは、DACです。

国内電機メーカの落日について少し書きます。

とうとう富士通が携帯事業売却へ

とうとうと言うより「ようやく見切りをつけたか」という方が一般的な感覚に近いかも知れない。富士通が携帯電話事業売却する方向へ舵を切ったとのことだ。


ポラリス・キャピタル・グループ(東京・千代田)や英CVCキャピタル・パートナーズなどの投資ファンドのほか、中国レノボ・グループやファーウェイ、鴻海(ホンハイ)精密工業などの事業会社も売却候補として浮上するもようだ。

9月にも1次入札を始め、売却額は数百億円とみられる。富士通は自社ブランドを続ける意向で、売却対象となる携帯電話事業会社の株式の一部は保有する方針だ。

投資ファンドだけでなく、事業会社つまりは同業他社やEMSが売却候補となっている。

国内電機メーカの携帯事業の現状

国内メーカーでは08年に三菱電機、12年に東芝、13年にはNECとパナソニックが携帯電話端末事業からそれぞれ撤退し、富士通が抜けると残りはSONY、シャープ、京セラの三社だけとなる。

しかし、その内訳はかなり厳しい。

SONYはXperiaシリーズで国内2位を保ってはいるが世界になるとベスト10から消えて久しい。

世界で見ればAppleと中国、韓国勢が既に制している状況で存在感は最早無いし挽回の目処も立ちそうに無い。

何とかエリクソンとの合弁を補助輪にして勢い付け、立ち戻ってSOMCとして単独化してもこの体たらくは褒められたものではない。あくまで今の国内もドコモをはじめとするキャリアの押しがあってのものだ。

シャープはご存じの通り、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で何とか立て直し中である。携帯電話はスマホもガラホも提供しているものの資本が変わって以降キャリアからの覚えもよろしくなくパッとしない。

京セラは相変わらずマイペースというか独自路線を敷いて底堅いといえば底堅いが最早マニア的な客層がつく程度で今後の拡大は見込めない。

いずれにせよ、世界で戦える力を持っていないし、存在感が極めて薄い。それどころか国内でももう青息吐息だ。

Appleに適わないのはどうにもならないとして、昨年本格化した格安SIM用の端末流域ではHUAWEIやZTEのような中国勢、ASUSのような台湾勢に押されてまくっている。FREETEL端末やMotorola(Lenovo)端末も実質は中国勢と見て良い。

その領域でも何とか踏みとどまろうとしていたのが富士通なのだから、この動きは決定的と言って良い。

電機業界に明暗は無い

メディア報道では、よく電機業界について勝ち組と負け組を分けて語る展開を見る。

曰く、シャープや東芝のように崖から転がり落ちて身売りをするしか手が無い企業は負け組だ。

富士通やNECのように元が弱電中心で何とか情報インフラに縋り付こうとしているところも負け組とされるか、或いは語るに及ばずと言った扱いになる。京セラもパナソニックも昔日の勢いは遠い思い出の中だ。

一方、勝ち組はどこか?いち早くV字回復をした日立、安定の三菱電機といった重電や都市関連の物理インフラ、建造系に重心を持ち得た二社がまず挙げられる。

また、最近は持ち直してきたSONYも弱電系ながらこちらに入れるのが妥当か?まあ地獄を何度も見ているし、安定しているかと言えば怪しいけれど…。

でも、この評価はおかしい。確かに日立、三菱の二社は選択と集中、要は扱う業務範囲の切り捨て判断が速かっただけだ。

なるほど経営者の決断が素晴らしかったと評価したくもなるだろうが、実態は違う。不要と判断した事業体を極力高く国に売り付けたかそうでないかの違いしかない。

その際の不労所得で食いつないでいるのが実態だろう。

その二社も南アフリカの火力発電所事案で醜悪な負債のなすりつけ合いをしているし、その結果次第では相応の後退を免れ得ない。

日立で明晰な判断をしたとされる川村氏も国と東京電力に請われて東京電力トップの座に着いたものの既に馬脚をあらわしていることだし、地力があったというより趨勢が向いていただけのことだと思う。

要は日本の電機企業で勝ち負けなどと語ること自体が馬鹿馬鹿しい。全ては斜陽の中にある。

終わりに

夢も希望も無い暗い話にしてしまったけれど、状況がここまで進んでしまって「まだやれる」「日本企業は凄い」と言ってしまう方が不誠実な話だ。

それこそ戦時中に大本営が嘘でも何でも巻き散らかせて結果大量の無辜の市民を犠牲にしたのと同じことになる。各企業で頑張っている社員は、インパール作戦などで無茶苦茶をやらされ白骨街道で餓死した末端の兵と同じ運命しか見えない。

全てにおいて、問題は上位指示層、経営者の無策、放漫の結果であってそれをまともに責任を取らせない状況が被害を拡大している。

会社は誰のためのものかという基本が問われて久しいが、結局その問いすら認識しない経営者が上にいれば何度でも同じ悲劇は繰り返される。それは天運でも何でも無く選択結果による必然だろう。

先だって、2つの心を打つ言葉「世の中に存在する価値」と「生き残り」 - ぐだぐだわーくすというエントリを書いた。ナイアンテックは「この製品は、世の中に存在する価値があるか」を常に問い、HUAWEIは「生き残ること」を常に念頭に置いている。

いまだ身の程を知らぬ国内電機企業はこれらの会社を下に見るのだろうが、その性根が治らない限り先などは無い。

何のために会社が存在し、何を目指すべきなのか謙虚に考え行動すべきだ。