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未来はあなたの手の中!決して終わらない「自分の真実」至上主義にどう対抗するか?

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こんにちは、DACです。

今回はフェイクニュースに関するお話しです。

フェイクニュースとは

フェイクニュースとは言葉通りフェイク(嘘、偽造、ニセモノ、デマ)のニュース(情報、伝達)のことです。コトバンクでは、虚偽の情報でつくられたニュースのこと。主にネット上で発信・拡散されるうその記事を指すが、誹謗(ひぼう)・中傷を目的にした個人発信の投稿などを含む場合もあるとしています。

元々、偽情報というのは昔からありました。管官房長官の言ではありませんが「怪文書」という出所のはっきりしないものもありますし*1、いかにも公式文書やプレスリリースっぽい感じを偽装した物もあります。

殊に昨年2016年はアメリカ大統領選挙に関するものでフェイクニュースが過去に無く増え、その存在感を激増させた年でもありました。

旧来のフェイクニュースはアナログな書類やポスター、チラシみたいな媒体を使いましたが、今やTwitterやFacebookなどのSNS経由で爆発的な拡散を使うのが主流です。

何故フェイクニュースを作るのか?

簡単です。儲かるからです。無茶苦茶に儲かる。

とにかく儲かる

まず、なにしろ初期費用、運用費用といった経費がとにかく少ない。何しろ取材とか不要だから、そのための機材や諸経費が要らない。

殊に場所代や人件費が極小化出来る。必要なのはどういう風に扇動すれば耳目を集めそれを自動で膨張させるかに熟達したライター(或いはそのテクニックの蓄積)のみです。事務所を借りる必要も無い。ライターを雇って原稿を書いてもらって、それを纏めるにはネットを介してやりとりをすれば良い。

当然拡散もSNS経由で経費はかからないし、ニュースサイトっぽい体裁を整えたフェイクニュースサイトへ流入させれば、内部リンクを回遊させることも出来る。

上手く信用させれば、固定客化する上にそのお仲間を誘ってくれて勝手に流入が増えるという好循環(?)を作り出せばとても美味しい。

いまどきそれっぽいサイトを作るのもツールがあれば、素人でも簡単です。

出る物が少なければ、売上げの殆どが利益になってしまうのだから儲からない方がおかしい。

毎日新聞の本日朝刊に「ナショナル・リポート」他のフェイクニュースサイト運営で「フェイク(偽)ニュース王」と呼ばれたジェスティン・クーラー氏はインタビューで次のように語っている。


フェイクニュースを流すことで「情報の中には偽物がある。もっと慎重になって」と警告する狙いもあった、とクーラーさんは言う。だがサイト運営の目的は急速に変化した。閲覧数が増えると広告収入も伸びる。「そう。売れるんだ」。2014年にはライター20人を抱え、年収60万ドル(約6600万円)に達した。

本当にそんな純粋で偽悪的な姿勢だったかどうかは眉唾ものですが、そこはどうでも良いでしょう。

結局のところ、箱を開けたら儲かったのでライターを雇ってまで前のめりでフェイクニュースを仕事にしていたのです。そこは何を言おうと金が沢山手に入るなら騙しても構わないという姿勢がこの人にあったのです。

倫理的には低劣であったし、それは看過されるべき物ではありません*2

すごく簡単に騙される

とにかく簡単だったいうのも大きい。


「オバマ大統領がイスラム文化国際博物館のためにポケットマネーを出そうとしている」。こんなデタラメのニュースにさえ、保守層は飛びついた。保守系FOXニュースの番組で女性キャスターが真に受けて伝えたほどだ。「驚いたよ。思っていたよりずっと簡単だったんだ」。フェイクニュースを受け入れる素地は、米国には以前からあったのだ。
一般人ばかりか既存のメディアがフェイクニュースをニュースソースにしてしまっています。それも常識的に考えてあり得ないようなデタラメであっても騙されてしまう。

要は興味があるだろうことについてだったら、どういうありえない嘘に繋げようと一定の纏まった人達が読みに来る。

上手く既存メディアを釣ることが出来たらそのメディアが更なる拡散を無料でしてくれる。そりゃあウハウハです。有頂天になっちゃうのも分かる気がしますよ。

特に危険なのは、最後にさらりと書かれている「フェイクニュースを受け入れる素地は、米国には以前からあったのだ」でしょう。

騙す側がいるから騙されるというよりも、騙して欲しい人が最初から一定数以上いて欲しい情報であれば真偽を問わずピョーンと飛びついてしまう。売り込む必要もなく、単にそれっぽく煽りを入れるだけ。

桜木花道の「左手はそえるだけ…」的な心境で淡々とやれば、すごく簡単に喜んで騙されるのです。

別にアメリカに限った話じゃ無い

ここまで読んで米国には以前からあったのだと「アメリカ人はアホだなあ。日本人は大丈夫」と考える人がいるのでしょうか?

お花畑も大概にした方が良いでしょう。当然この傾向は世界中にあり、日本も例外ではありません。むしろ自覚が薄い分、日本の方がよほど深刻な状況に陥っています

見たい物だけを見る人達の真実

毎日新聞の記事中で以下のように分析がされています。


シアトル・タイムズ紙の元編集主幹でテンプル大学のデービッド・ボードマン教授(60)は「人々は異なる意見に接する健全さを欠き、似た考えばかりを聞いて自分の考えを補強する」と見る。「自分の真実」対「あなたの真実」の闘いが生じているというのだ。
この言葉にヒヤリとしたものを感じない人はとても危険です。

自分の常識、自分にとってのあるべきを既に相対的に見る能力を失っている可能性が極めて高い。所謂バカの壁です。

「自分は間違っているかも知れない」「自分の見ている物は限定されているかも知れない」という疑念を持たないならば、当然自分にとっての真実は極大化し、絶対化する。

その結果、自分の真実にそぐうものは真偽に関わらず追い求める。仮にそれが異口同音的な繰り返しであろうと、その中に浸っていることが幸福だと感じる。

わざわざその幸福を減じたりはしたくないし、その延長線上で上手くやっていきたいと思うのが人の業というものでしょう。同質のお仲間集団の中で「イイネ!」「参考にします!」「それ素敵!」とはんこのようなポジティブっぽい反応をしていれば幸せでいられる。

頭を何も使わず低コストで怠けて楽しさを維持できるエコシステムがあるならそれがベストであると低きに流れるのです。

逆に言えば、自分の真実から外れている物は無私するか、攻撃*3をもって応じるかという精神性を持つようになる。

自分の真実と異なる何かを認めることは、幸せなエコシステムを破壊しかねません。自分の興味の外であるものには億劫で苦痛を強いられるので極力触れたくない。

まして自分の立ち位置を脅かすような論説や事実などもってのほか。目にも耳にも入れたくないし、それが自分の立ち位置を壊すなんて許せない。

中傷と異論を区別しない人達

こうやって書くと「そんなことないよ!ネガティブな物が嫌なだけ」と言うのかも知れませんね。

でも、ネガティブを判断する主体は一体どこの誰ですか?「ネガティブな物が嫌なだけ」と言っている人にとって嫌な物を言っている人がネガティブと捉えているだけのことです

相対化して考えた場合、その人自身が間違えていたり偏っていたりした場合でも、それを指摘することにネガティブさは存在しません。

単なる異論であり、ときに事実そのものであるわけです。単に異論を受け付ける猶予が無いことをネガティブというレッテルを貼ることによって回避しようという安易且つ卑怯な論法でしかありません。

よく言われるのが自分にとっての真実と異なる異論をぶつけられたとき、それを全て誹謗中傷だと騒ぎ立てる人がいます。

無論、異論にも質という物があります。ピンキリです。ネットなどでは本当に中傷や言いがかりでしか無いものも沢山あります。*4こういう状況も「なんでも中傷だ」と言い出すお花畑な人には都合が良い。

ですが、本来異論は中傷とは全く別物で仮に「自分の真実」を覆す物であっても「自分の真実」と同等以上に尊重しなければなりません。

決して終わらない「自分の真実」至上主義

記事はこうしめています


「フェイクニュース王」と呼ばれたクーラーさんは、批判や後悔もあり、トランプ氏の大統領就任後まもなくフェイクニュースを流すのをやめた。「言論の自由を取り締まるのは危険」との考えから、大手メディアなどに対抗策を助言する。一方で、こうも予言する。トランプ政権に不満を募らせるリベラル層が「フェイクニュースの次なる市場になる」と。
この言葉には二重の意味があります。

一つはファイクニュースサイトが扇動して「自分の真実」を助長する流れがこれからますます過激になっていくでしょう。

もう一つは、当の大手メディア或いはバイラルメディアなど後続してきたメディアそのものが「メディアの真実」を語る方向性が更に強まる恐れです。

後者は確かに事実をベースに伝達をすることを生業としており、その一点は信用に足ります。

しかし、それは色や角度をつけないということは意味しない。むしろ、色や角度は積極的につける。

自身がいかに前向きかを「フェイクニュースと闘う」「NO HATE」などと聞こえの良いスローガンを挙げて喧伝する。

でも組織として不偏不党、中立無私を期待できるような仕組みを作らない限りそれはスローガンに過ぎず信用に足らない。

だからこそ、読む側受け入れる側がどういう姿勢を取るかが問われる。報道は報道で任せるとして大事なのはあなた自身がどうふるまうかだ。

*1:あれは結局ガースーが口から出任せを吐いたというオチで、菅氏の株が落ちるだけという情けない話になりました。その上懲りずに公式文書以外は認めない運用を始めるのですから、厚顔無恥というのは最強ですね

*2:こらこら、そこの儲かっていないブロガー!「いいなあ、自分もやろうかな」とか思わない!今更そんな後追い認識じゃセンスが無いから無理だよ。

*3:迎撃かな

*4:はてなブックマークなどはまともな言及が出来る人は数えるほどしかいませんしね。大抵はそびえ立つ糞製造機です。暇人に道具を与えるとろくなことはしないという証明にはもってこいですが…