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こう来たか!?破壊と創造の神アマゾンの独自配送網整備の報に思うこと

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こんにちは、DACです。

今日は、あのAmazonが日本国内で自前の運送網構築に着手したというお話についてです。

ネタ元

www.nikkei.com

概要

インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が独自の配送網の構築に乗り出すことが分かった。」というお話です。

これまでアマゾンジャパンのメインの配送網は、過去に佐川急便株式会社が扱い、現在はクロネコ便で知られるヤマト運輸が行ってきました。地方であれば西濃であるとかそこに強い運輸会社に委託する事例もありますが、多くにおいてはメインの運送会社が担ってきました。

しかし、アマゾンジャパンは日本国内の販売についてはアマゾンプライムサービスのように海外に比べても破格にお得な常連客優待プランを用意し、以前はプライム会員以外も含めて送料無料を売りにしてきました。そのサービスの原資は会員費用であり商品価格の一部であるだけでなく、配送網を担う運送業者との業務請負契約に転嫁されてきました。

必ずしもその結果という訳でもありませんが、直近ではヤマト運輸について、「ヤマト運輸 未払い残業代が230億円に」「ヤマト運輸 きょうから宅配サービスの縮小」「ヤマト運輸の大口向け運賃は15%超の値上げを想定。配送に関する改革の進捗状況は?」とこれまで抱えてきた懸案を明らかにし解決しようという動きが矢継ぎ早に報道されている状況です。

ただ、送料値上げやサービス範囲の制限をされてしまうと結果的に「販売価格をあげるのでは?」「お急ぎ便をやめるのでは?」「Amazonプライムも高くなるのでは?」と顧客満足度を下げざるを得ないかもと予想されたアマゾン側の対応する動きの一つが自前配送網構築による部分的、或いは全体的な配送網の代替えです。

記事個別状況に対しての所感

記事を引用しつつ、小生なりのテケトーな所感を挙げていきます。

規模感がとにかく大きいアマゾンの国内配送量


アマゾンは国内で年間約3億個の荷物を発送しているとみられる。国内宅配便取扱数の1割弱を占める計算だ。アマゾンが個人事業者の活用を本格化することで、大手運送会社に偏っていたネット通販の配送業務の平準化が進みそうだ。
3億個と言われても全く想像もつきませんが、国内宅配便取扱数の1割弱を占める計算と言われればイメージが付かないまでも相当な物量なのだなあくらいは分かります。今回の話は、それだけ大きな配送を変えてしまうお話なのです。どこまでを動かすかまでは書かれていないのです。

でも、仮にあるタイミングでポンと右から左に「ヤマトさん、お疲れ!明日から来ないでいいよ」という話だとするなら、これはとんでもない転換な訳です。あまり現実感が無いので部分代替えと小生は受け取っていますが、アマゾンならダイナミックな転換もやりかねないとも思う訳です。

個人事業者の活用って何さ?


最大の需要地である東京都心部では、東京証券取引所1部上場で、ネットスーパーなどの配達「桃太郎便」を手がける丸和運輸機関が個人運送業者を組織化。配送の業務委託(3面きょうのことば)により、アマゾンの当日配送サービスを担う。東京23区内の一部でアマゾンから受託した配送業務を始めた。
確かにアマゾンダッシュ便サービスのように常軌を逸したように見えるサービスを開始したにあたって、アマゾン自前の運送網と思しきものの存在は見え隠れしていました。現実は、個人事業者への委託でした。

しかし、先に書いたようなとんでもない物量を個人事業者が捌けるかといえば、普通に考えれば無理です。そこでアマゾンが仕組んだカラクリ(スキーム)は、個人事業者を統率する運営会社を仲介させあたかも一個の大きな運輸会社であるように機能させることだったようです。その際の仲介を「桃太郎便」を手がける丸和運輸機関に任せる訳です。

「でも、やっぱり下請け運送会社はこきつかわれてポイですか?」に対するNO!


丸和運輸機関は労働時間の管理を厳しくしながら安定した仕事量と売り上げを保証して、個人事業者を囲い込む。寮や燃料割引、研修制度も用意する。必要に応じて、都心でも走りやすい軽貨物自動車を貸し出し、新規参入も促す。
 丸和は既に軽貨物車を数百台用意。まず17年度中に東京都心部をカバーするため1000台まで増やし、運転手も1000人規模の確保を目指す。20年度までに軽貨物車1万台、運転手1万人体制に拡充し、当日配送の受託地域を首都圏の主要都市に拡大。配送拠点も増やし、総投資額は100億円を超える見込み。丸和は自社で負担する。

正直動きださないと分かりませんし、内情は当の運送会社でないと分からないです。ただ記事における丸和運輸機関は労働時間の管理を厳しくしながら安定した仕事量と売り上げを保証して、個人事業者を囲い込む。寮や燃料割引、研修制度も用意する。を鵜呑みにするのであれば、個人運送会社は自前でそれらを用意する必要が全くなくなるか大幅に負荷が軽減されます。

それらとは、適正な労務管理、運送に必要な道具、仕事量獲得の営業、不安定な収入環境の安定化、教育、実労働者の福利厚生です。至れり尽くせりです。個人事業者にとってみれば、それらは無くて当たり前だったものでヤマト運輸や佐川急便などの大手の下請けをしつつも厳しい状況を強いられていたのですから、これはとにかく美味しい条件だろうと推測できます。

本当に本当?

そんなこと外野には分かりませんよ。でも、目の付け所は良いと思いました。

佐川急便の配達員が不在配送でブチ切れて荷物相手に憂さ晴らしした動画が話題に上がったのは記憶に新しいです。佐川に限らず、ヤマト運輸でも配達者の労働環境は劣悪と言う報道は枚挙にいとまがありません。

しかし、それはまだマシなのでしょう。彼らはあくまでまだ本体直属です。しかし、現実の運送業は更にその下に下請けとしての個人業者、或いは業務委託として表向き大手の看板を背負いつつもその実はより劣悪な労働環境を強いられる個人業者の存在はあまり語られることはありません。

中抜きを得意とし、既存の仕組みを破壊することで創造的なブレイクスルーを繰り返してきた最右翼の一つであるアマゾンであれば、この構造を突いてくるのはむしろ当然なのかもしれません。

勿論彼らは人の皮を被った悪魔のような所業を繰り返してきましたから、美味しい裏には洒落にならない縛りや理不尽な罠を仕込んでいる可能性も十分あるとは思うのですが、ヤマト運輸の動きへのカウンターとしてはこの上ないタイミング、仕組みを打ち出してきました。

終わりに

自分は運送会社の中の人ではなく、あくまでユーザでありデバガメの一人に過ぎません。しかし、ここまでアマゾンの動きが速いというのは正直全く読めていませんでした。

ヤマト運輸の動きが加速する中、ネットでは「ドローンで独自網を作る」とか「値上げするしか」とか言われる一方で「独自運送網開発」という推測もされていました。小生自身はそんなこと漫画みたいに簡単に出来たら世話は無いと取り合いもしなかったのですが、こう来ましたか…と。名前こそ「独自運送網」ですが、これは既存の問題を上手く組み替えることによって調整自体も外注してしまう「独自スキーム」の実運用で似て異なるものです。

何が違うかと言えば、中核である「桃太郎便」を手がける丸和運輸機関ですら代替え可能というところで、自前ではそこを担わないのです。つまり、手を汚さす結果的に安定的に「独自運送網に外注できる」という仕組みです。これを考えた人たちのリスクマネジメント力には怖気が走ります。何があっても損はしないし、利益は必ず確保します。見掛け全ての関係者にWin-Winですが、最悪外が死屍累々となったところでアマゾンはびくともせず肥え太るカラクリです。

日本の経営者におかれましても、こういった才覚の一片でもあれば…と嘆息せざるを得ません。