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戴社長の記者会見を見て「先見の明が無かった」と気づかぬ日本の電子機器メーカの経営者は恥を知るべき

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正直これは無茶苦茶まずい。見事にしてやられた…と思う内容

gendai.ismedia.jp

ガバナンスの不在

ガバナンスが無いという指摘は額面通りシャープ社内がそうであったということだけを指している訳ではない。これは安穏と社内調整や部門間で責任を擦り付け合って、せっかくのリソースをドブに捨て続けている殆ど全ての日本の会社に対して放たれた言葉だ。決して他人事ではない。

確かに日本の会社はコーポレートガバナンスコードは公開している。金融庁と東証が上場規則として設定している以上、それなりの会社は必ず作っている。

しかし、それがまともに機能しているかどうかは全くの別問題だ。企業内の統制が効いている会社であれば、ひとたび社の方針が決まればそれに反する全ての要素を排除・解決しつつ目標達成にリソースを振り向けることが出来る。

現実はどうか?社内には指揮系統が複数存在し、それらに明確な優先順位が無いので混乱を極める。複数事業でのシナジー効果を生むどころか、重複のリソースをそれぞれに消費する。

鴻海から来た新社長が吠える!「シャープにはガバナンスがなかった」(大西 康之) | 現代ビジネス | 講談社(2/2)より引用:

太陽光パネル事業ではものすごく高い値段で材料の購入を決めていた。150億円の投資に専務のサイン一つで実行できた。喩えて言えば昔のシャープは社長が液晶パネルの工場を建て、副社長が太陽光パネルの向上を建てる。社長と副社長は仲が悪いから、(配電や排水処理など)ユーティリティーを共用しない。液晶パネルと太陽光パネルは工程が似ているから、多くのユーティリティーを共有できるにもかかわらずだ。

「弊社にはそんなことは無い!経営層の意思は統一されており、年度予算に基づき全社一丸で動いている!」と社員全員が確信している日本企業が一体どれだけあるだろうか?会社の規模が大きければ大きいほど、昔からある会社ほどそれは絵に描いた餅だろう。少し前は当のシャープがそうであったように、今は東芝がまさにガバナンス不在のツケを払わされる道半ばにある。チャレンジという言葉で非現実的な目標を作り、それに合わせた虚偽の結果を報告させることで折角のリソースを無為に捨てた。経営層は自分の成果をいかに盛りつけて、承認欲求を満たすことに終始した。その結果が今の東芝の惨状を招いている。

まあ、そんなことは最早広く知られたことではあるが、外から来た人間に歯に衣着せずに「その程度のことも出来ていないのが日本企業だ」と公然と侮蔑されているのだ。まず、そこに怒り狂うなり、猛省するなりするのがあるべき反応だろう。

シャープを子会社化したのは明確に次を見据えた投資だった

この記事の恐ろしいところはそれだけではない。

鴻海から来た新社長が吠える!「シャープにはガバナンスがなかった」(大西 康之) | 現代ビジネス | 講談社(2/2)より引用:

IoTの会社に変える。先週、総務省に呼ばれ「第41回家電メーカー懇親会」という会議に出席した。ソニーやパナソニックの社長も呼ばれていた。そこで私はパナソニックの津賀(一弘社長)さんに「この名前は正しいのですか」と訪ねた。自分たちのことを「家電メーカー」と呼んでいるのはおかしいと思う。

この時ソニーもパナソニックも戴社長が何を言っているのか分からなかったのだろう。恐らく今に至っても理解できていない。当然だ。彼らは図体こそ大きいが、先達が行ってきたことをそのまま拡大したり伸長させたりには熱心だろう。スペックの向上や技術開発という個々の能力向上は未だに競争力を持っている。

しかし、ここで戴社長が言っているのは、家電という枠組みは最早そぐわない、そんなものはもう求められていない…という、概念レベルでの相違だ。彼にとってみれば、当然ソニーやパナソニックであれば同じ概念を持って先を見据えているだろうと見込んで話しかけた筈だろう。台湾メーカにとっては、落ちぶれたとはいえ日本のメーカは先生であり、目指す先であったのだから、最低限ここまでは肌感覚で分かっているという前提が、肩透かしになった。そこで戴社長が唖然としたか、予想通りと思ったかは定かではないが、結果足元を見られることになってしまった。

鴻海から来た新社長が吠える!「シャープにはガバナンスがなかった」(大西 康之) | 現代ビジネス | 講談社(2/2)より引用:

家電は家に帰ってスイッチを入れないと動かないが、IoTは利用者がオフィスから動かせる。「もうすぐ故障するからパーツを替えましょう」という提案もできる。今、IoTの最先端は中国にある。だからシャープは深圳に研究・開発センターを設立した。富士康(フォックスコン=ホンハイの中国製造部門)の工場も目と鼻の先にある。

ITの使い方において、日本はすでに先進国とは言えない。2020年にはIoTで一番遅れた国になっているかもしれない。だから総務省も頭を痛めている。シャープはホンハイと力を合わせ、グローバルなIoT企業になる。

IOTが今後市場として伸長するかどうかは分からない。しかし、現実問題IOTについては既に日本企業は中国企業に大きく後れを取っている。概念そのものは早くから提唱され、取り組みはしていたものの市場開拓になかなか結び付かない状況にあって日本企業はIOTに対してあまり熱心とは言えない。

一方、ホンハイは最初からシャープのコンシューマ関連の開発リソースを最大限利用することを織り込んでいた。メディアも他社も、政府ですらホンハイが欲しいのは液晶技術でその他は切り売り対象という決めつけをしていた。技術力が無く、Appleの下請けをやっているだけで図体が大きくお金の余った台湾の会社が、成金的に日本の技術を欲しがっているという論調ばかりが目立った。確かに液晶技術が欲しかったことは間違いが無かっただろうけれど、その論調がいかにホンハイを侮っていたか、何故同じ着想をもってシャープの技術を拾おうとしたものが国内から出てこなかったかを猛省すべきだろう。

最後に

勢いだけで書いてしまったが、自分はこのような記事が出てしまうことが恥ずかしいし、悲しい。そして、恐らくは日本の経営者たちは、自分の立場を理解せず、上から目線で「お手並み拝見」と思っているだろうことに絶望する。そうやっているうちに多くの社員を道連れに茹で蛙になっていくと思うとやるせない。

せめてX理論は完璧にこなして欲しい

これ古典中の古典レベルだし、そもそも日本企業がお手本になっていたと思うんだけどね。今はどの日本企業もX理論の出来損ないみたいなことしか出来ていない。Y理論の実現は逆立ちしても無理だろうけど、せめてX理論レベルの統制くらい出来ていて欲しい。情けなくなる。

 今のシャープと対比するのに最適な迷走の東芝

今まさに奈落の底に落ちていく東芝と今のシャープは対比するのに適当と思います。

  • いずれも経営層が無能であり、自分のことしか考えていなかったこと
  • 現実に即さない達成目標を強いられる社内文化
  • 排除すべき癌が居座った結果どうなるか

学ぶことは沢山あります。

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